ねおでっど日記

間違いなくたぶん、個人の主観です

ボンジョビここに極まれり

What About Now

Bon Jovi「What About Now」★★★★★


神様、ジョン様、サンボラ様

1984年から活動を続けるUS Rock界の重鎮、Bon Jovi様が12枚目となる「What About Now」を発表した。
以前からギタリストのRichie Samboraが大好きな私も早速購入してみたのだが、結論から言って素晴らしい作品だったのでこちらでも紹介しておきたい。

正直、ここまで品質の良いアルバムがリリースされるとは私も予想外だった。
なぜなら、ここ数年はRichie Samboraのアルコール依存症の悪化やそれに伴うバンド活動の休止など、ファンにとっては良くないニュースの方が多かったからだ。
それでも再びこうしてUS Rockの第一線に軽やかに復帰するあたり、さすがBon Jovi様、と思わず崇拝せざるを得ない。
ポストBon Joviと称される若手のバンドは世界中に数多く存在するが、このアルバムによってその差はまたもや広がってしまったように思う。
これも神様、ジョン様、サンボラ様の成せる技とも言えるが、早速1曲目から見ていこう。

01「Because We Can」:Yes We Canでおなじみ、現アメリカ大統領のオバマ氏に呼応したかのような力強いメッセージが心地良い1曲。アルバムの初っ端からBon Jovi流のポジティブ感が炸裂しているあたり、本作を象徴する曲でもある。

02「I'm With You」:サビにおけるJohnとRichieのハーモニーが心地良い1曲。希望に満ちた歌詞も良い。

03「What About Now」:アルバムタイトル曲は前作「The Circle」路線を正統に継承したメロディアスな1曲。2番のAメロから挟み込まれるストリングスが曲全体において効果的に作用しており、音作りにおいても未だに成長を続ける彼らの姿を確認出来ることだろう。ただ、きちんとしたGソロがないのは少し寂しい。

04「Pictures Of You」:前の曲から絶妙な間合いでスタートする本作を代表する1曲。ここでもJohnのVocalに寄り添うようなRichieのコーラスワークが素晴らしい仕事をしている。サビにおいてもこちらの予想を超える旋律の展開が用意されており、このフックはベテランにしか出せない味だと思う。

05「Amen」:アコースティックなラブソングはBon Joviにとっても十八番だろう。未だその切れ味に衰えはない。後半、ビブラートに歌い上げるJohnの歌唱力がそれを物語っている。

06「That's What The Water Made Me」:「Pictures Of You」と同質な曲調だが、こうしたミディアムテンポで展開するメロディアスなロックは近年の彼らが最も得意とする分野とも言えよう。これは2007年発表の「Lost Highway」から続くものである。

07「What's Left Of Me」:アコースティックなギターから始まるUSらしい大陸的な空気を感じる1曲。これも「Lost Highway」以降のカントリーへの傾倒がよく分かる内容とも言えるだろう。

08「Army Of One」:"諦めるな、諦めるな、絶対に"とサビで連呼する松岡修造的ネバーギブアップソング。私が近年のBon Joviに共感を覚えるのは、こうしたポジティブなヴァイブスを直球ど真ん中のストレートで勝負してくるところだ。まさに正々堂々という言葉がふさわしいバンドである。この曲はファンとしても真正面に受け止めたいし、そうすべきだ。

09「Thick As Thieves」:ピアノをバックに壮大なサビへと続くバラード。相変わらず、RichieのGソロはまるで歌っているかの如く情感豊かである。

10「Beautiful World」:「Pictures Of You」、「That's What The Water Made Me」と同系統の骨格を持ったミディアムテンポのロック。"僕らが暮らしているこの地は楽園なんかじゃない、だけど美しい世界じゃないか"という歌詞が泣かせる。

11「Room At The End Of The World」:アルバムの終盤にふさわしく、男性的な激しさと大陸的な穏やかさが同居したパワーバラード。ディレイとリバーブを使ったRichieのギターが曲全体に可憐な花を添えている。

12「The Fighter」:アルバム本編のラストを飾る曲はアコースティックギターによる弾き語り系バラード。途中から挟み込まれるオーケストラのストリングスが大人系Rockたる今のBon Joviを象徴しているようでもある。メロディ運びも余韻を残す終わり方がGoodだ。

13「With These Two Hands」:日本盤ボーナストラック。ソツのない作りだが、それほどフックが効いていないのでアルバムから漏れたのは頷ける内容。これからという時に失速する終わり方も残念。

14「Into The Echo」:日本盤ボーナストラック。逆にこちらはなぜアルバム本編に収録しなかったのか悩んでしまうほど、素晴らしい1曲。私は本作をお店で試聴してから購入したのだが、正直言ってこの曲が最終的に購入のきっかけとなったぐらいだ。ここでもJohnに寄り添うRichieのコーラスワーク、そしてGソロの構成が抜群に良いのだが、これは「Lost Highway」以降の21世紀版Bon Joviを代表する1曲に成り得るクオリティである。ファンならぜひともチェックして欲しい曲だ。

その他3曲のボーナストラック「Not Running Anymore」、「Old Habits Die Hard」、「Every Road Leads Home To You」についてはJohnとRichieのソロ作品であり、形式的にはBon Jovi名義ではないのでコメントは控えたい。
もちろん各曲のクオリティには問題ないが、Bon Joviのボーナストラックらしいかと言えばいささか答えに苦しむ。
本音を言えばアルバム収録曲のデモverなどがファンとしては聴きたかったところだ。
もちろん今回が豪華な日本盤であることには変わりないのだが。


今こそどうだい?

さて、肝心の本作の評価についてだが、すでに述べてきた通り、各楽曲がそれぞれ気持ちの良いポジティブソングに仕上がっている点は近年のBon Joviの集大成的意味合いもあろうかと思う。
これは彼らが心機一転に路線変更した「Lost Highway」以降のBon Joviとしての完成形がこのアルバムに凝縮されているとでも言うべきだろうか。
少なくとも名作と呼ぶには今ひとつ心の芯に響いてこないのは事実だが、むしろこれほど高品質なRockを提供してくれるバンドが今の世の中に果たしていくつあるだろうか。

この品質、ベテランだから出来て当然ということではないだろう。
やはり日頃からの音楽に対する真摯な姿勢があってこそ実現出来るものだ。
ただ、その裏を返せば、近年の彼らはある意味紳士的で生真面目過ぎるところが旧来のファンにとっては少し寂しいところなんだろう。
私も1992年発表の「Keep The Faith」のように、ハードでポップ、そしてバラエティ豊かなロックというものを彼らに期待しているのだが、ここ数年の作品はパーティー系R&Rな楽曲さえ見当たらないのが現状だ。

しかし、大人になったBon Joviもそれはそれで美味である。
今回も予想通りに大人路線の作品だが、前作の「The Circle」やその前の「Lost Highway」が気に入っていた人なら今すぐにでもチェックするべきだ。
未だに「Slippery When Wet」を夢見ている人はいないと思うが、例えば「Crush」や「Bounce」のような雰囲気を期待すると恐らく肩透かしを食らってしまうことだろう。
それまであった若さ故の未完な部分が彼らの良さでもあったが、年を経て、21世紀の今、良い意味でこのぬるま湯に長く浸かるのも悪くない気がする。

本作「What About Now」はそのタイトル通り、「今こそどうだい?」と大人になった彼らが、4年ぶりに私達に語りかけている作品なのだ。
ドヤ顔のJohnが容易に想像出来てしまうのが悔しいけれども、事実、そのタイトルにふさわしい作品を彼らは発表することとなった。
そう、これはまさに彼ら自身が「Because We Can」と高らかに宣言する作品なのである。





ホワット・アバウト・ナウ
ボン・ジョヴィ
ホワット・アバウト・ナウ
曲名リスト
1. ビコーズ・ウィー・キャン
2. アイム・ウィズ・ユー
3. ホワット・アバウト・ナウ
4. ピクチャーズ・オブ・ユー
5. エイメン
6. ザッツ・ホワット・ザ・ウォーター・メイド・ミー
7. ホワッツ・レフト・オブ・ミー
8. アーミー・オブ・ワン
9. シック・アズ・シーヴス
10. ビューティフル・ワールド
11. ルーム・アット・ジ・エンド・オブ・ザ・ワールド
12. ザ・ファイター
13. ウィズ・ジーズ・トゥー・ハンズ (ボーナス・トラック)
14. イントゥ・ジ・エコー (ボーナス・トラック)
15. ノット・ランニング・エニーモア (映画『STAND UP GUYS』より) (ボーナス・トラック)
16. オールド・ハビッツ・ダイ・ハード (映画『STAND UP GUYS』より) (ボーナス・トラック)
17. エヴリィ・ロード・リーズ・ホーム・トゥ・ユー (ボーナス・トラック)

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