ねおでっど日記

間違いなくたぶん、個人の主観です

Eric Saadeが教える本当に気持ちのいいSwedish Pop

Masquerade

Eric Saade「Masquerade」★★★★★


若きポップの天才

これまで、事あるごとにSwedish Popの重要性を説いてきたつもりだが、そろそろ実例も紹介していく時期だろう。
今夜は最新作のリリースを目前に控えたEric Saadeの1stデビューアルバム(2010年発表)にスポットを当ててみたい。

Eric Saadeは、ソロシンガーとして2009年に活動を開始。
2011年のMelodifestivalenでは見事に優勝を飾り、スウェーデンはもちろんヨーロッパにおいて一躍時の人となったアーティストである。

この1stアルバム発表時はまだ21歳ということで、若さ漲る快活な楽曲が中心だが、バラードで見せる抜群の歌唱力は実力派ボーカリストとして全く遜色がない。
これは彼の身体全体からほとばしる天性のリズム感によるものだと思うが、まさに躍動感あふれるSwedish Popを体現するアーティストと言えよう。

そもそもSwedish Pop自体が、日本人の琴線に触れる音楽であることは、すでに歴史が証明している。
まず70年代にABBAがその歴史を切り開き、80年代にはRoxette、そして「Final Countdown」でお馴染みのEuropeが登場、90年代に入るとAce of BaseをはじめとするDance Popの隆盛により、日本のClub/Discoシーンにも大きな影響を与えたことは記憶にも新しい。
最近でもEric PrydzやSwedish House Mafia、そしてAviciiなど、才能豊かなアーティストの登場が後を絶たないのも周知の事実だ。
これはClub Musicに限らず、HR/HMシーンにおいても同様であり、お家芸でもあるメロデス系はもちろん、正統派ヘヴィメタルを高いクオリティで実践するバンドが数多く現れるなど、まさに音楽大国スウェーデンならではの活況と言えるだろう。

言ってみれば、それだけレベルの高い競争が必然として存在しているということ。
質の悪い音楽はすぐに淘汰されるが、良いものは磨かれるという土壌がそこにあるのだ。
Swedish Popというジャンルが古くから世界で受け入れられているのは、恐らくその辺にヒントがあると思う。

話を戻そう。
Eric Saadeはその若さと甘いマスクで、パっと見アイドル的な軽薄さを漂わせるが、歌と楽曲に手抜きは一切感じられない。
それはこの本作を手に取ってみた時、私もしっかりと確信することが出来たのでまずは安心してもらいたい。
ポップアルバムとしての全体の流れが良く、楽曲のバラエティも豊富であり、これはJustin Bieberの「Believe」に勝るとも劣らないクオリティである。
特に「Break Of Dawn」と「It's Gonna Rain」は本作を代表するスコアであり、間違いなくSwedish Pop史に残る名曲と言っても過言ではない。
その脇を固める「Upgrade」や「Sleepless」など、ダンサンブルでアッパーな雰囲気はリスナーの五感を直感的に刺激する気持ち良さがあり、好きな人にはたまらない味だろう。

音楽的には70年代から脈々と受け継がれるEpicなDiscoサウンドがバックボーンにあり、筆者としてはこの感覚が心底心地良いと思うのだが、皆さんはいかがだろうか。
これは同じスウェーデン出身のMagnus Carlssonが目指していた方向とも言えるが、残念なことに彼の知名度は日本では全く上がらなかった。
なぜ彼を大々的にプロモーションしなかったのか、当時の日本のレコード会社には文句の1つも言いたくなるが、今後はEric Saadeにその思いを託したいと思う。
もはや売れる要素は全て揃っているはずだ。

すでに前評判の高い最新作の発表を今年の8月に控え、私の準備も万端である。
まだその準備が整っていない方は、先にこの1stアルバムをチェックしてみて欲しい。
本当に気持ちのいいSwedish Popが味わえると思う。
私が思うに、今、日本のポップチャートに必要なのは、「歌って踊れて切ない」曲なのだ。
その先駆けとなった宇多田ヒカルやケツメイシの話もしたいところだが、長くなるので今夜はこれにて。

ちなみに私は女医ではない。





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