ねおでっど日記

間違いなくたぶん、個人の主観です

Gama Bombのスラッシュメタルは脳を活性化する

The Terror Tapes

Gama Bomb「The Terror Tapes」★★★★★


うだる猛暑に最適な音塊

今年の春にリリースされたGama Bombの新作が素晴らしい出来。
本作「The Terror Tapes」は、彼らにとってはすでに4作目となるが、相変わらずAnthraxとSuicidal Tendenciesの好いとこ取りな西海岸系スラッシュメタルのサウンドに、私自身、興奮を抑えることが難しい内容である。
今をときめく新日本プロレスの中邑選手に言わせれば、まさに「たぎったぜぇ!」的な作品とも言えるだろう。
時に真壁選手のような猪突猛進型でありながらも、KUSHIDA選手のような計算されたテクニカルな一面も披露するなど、総じてこのGama Bombの試合巧者ぶりはベテランの風格すら漂わせるものだ。

それにしても今年のG1優勝者が内藤選手ということには大変驚かされた。
私の本命は真壁選手で、対抗に中邑選手&棚橋選手、大穴で柴田選手あたりかなと予想していたのだが、見事に裏切られた格好だ。
時にプロレスは筋書きのないドラマを見せてくれるが、やはりG1ともなると連戦によるダメージの蓄積が予想以上に激しいものになるのだろう。
ケガで途中欠場した後藤選手にも期待していたのだが、また万全の体調で柴田選手との決着をつけて欲しいとも思う。

話が脱線してしまったが、何はともあれ、このスラッシュメタルというジャンルの生い立ちを考えた時、「疾走感」なくして易々と語ることは出来ない。
これはMotörheadがたびたびスラッシュメタルの始祖として崇め奉られていることからも分かるように、ある種の恍惚感あふれるスピードというものは、果たしてこのジャンルの肝中の肝である。
もし貴方が単純にスピードだけを求めるならば、それこそハードコアパンクやデスメタル、グラインドコア、メロスピ等、所謂ツーバスドコドコ&ブラストビートの類いを真っ先に聴けばよろしい。
しかしスラッシュメタルとは、正統派ヘヴィメタルに適度な暴虐性を伴った疾走感を、馬車馬に鞭打つが如く表現した猪突猛進型音楽の1つであり、特にギターリフを主役とするため、決して速過ぎない速度で楽曲の均衡を取る必要があり、これを私は寸止めの美学と昔から呼んでいる。
この寸止めこそ、誕生から20年以上を経ても固定ファンが絶えないスラッシュメタルの核心に迫る部分であり、例えば近年台頭してきたデスラッシュ等のジャンルとは似て非なるものであることを、はっきりとここで申し上げておきたい。

この疾走感において、決して速過ぎない速度とは、つまり言い換えればヘッドバンギングに適したBPMということだ。
それは自然にギターリフを引き立たせるものとなり、バンドとしてのグルーヴを体現しやすくなるということは言うまでもない。
例えばTestamentやExodusなど、ベイエリア出身のスラッシュメタル勢においては、西海岸というパンキッシュな地域性にも恵まれ、心地良い疾走感の産み出し方をよく知っていると思う。
中でもSuicidal Tendenciesの功績は無視出来ず、後進の若手スラッシャーのみならず、ハードコアパンクやメタルコアなどにも多大な影響を与えたことは記憶にも新しい。

そこでこの北アイルランド出身のGama Bombの話となるわけだが、彼らは所謂新世代のスラッシュメタルに属する若手バンドである。
結成は2002年であり、若手と呼ぶには少し躊躇する経験年数とも言えるが、スラッシュ四天王からすればまだまだ若造の部類であることは否めない。
それでもすでに3枚のアルバムをリリースし、昔からHR/HMを好む硬派なファンを含め、世界各地のスラッシャー達からの支持を年々拡大してきた。
今回紹介する新作「The Terror Tapes」は前作から4年が経過していたにも関わらず、徹頭徹尾、頑固なまでに自身のスタイルを貫いたGama Bombらしいスラッシュお馬鹿な作品となっており、痛快無比という言葉がこれほど似合う作品もなかなかないだろう。

全12曲、トータルで36分というコンパクトな内容だが、スラッシュメタルという枠の中で考えれば、このボリュームはある意味で教科書的でもある。
Slayerの名盤「Reign In Blood」は30分にも満たないが、決して満足度は低くないからだ。
Gama Bomb自身、そこを意識したかどうかは分からないが、曲によっては17秒程度のものもあり、この遊び心は往年のS.O.D.にも通じるものだ。
かと言って安直にパロディ化させるのではなく、真面目にスラッシュメタルを研究した痕跡があちこちで見られたのは大きな収穫だった。

冒頭でも述べたように、全体の音楽性はSuicidal Tendenciesの反骨的な精神性をベースに、AnthraxやExodus的なフットワークの良いギターリフが華を添えている。
そこにジャーマンスラッシュに代表されるような塊感あふれる疾走感を付随させることで、Gama Bomb流の高速スラッシュメタルが炸裂しているのだ。
これはWarbringerやEvileなど、成長著しい若手スラッシャーの中でも、頭一つ抜け出したことを内外に証明した作品とも言えよう。

本作をこれまで何度リピートしたか、この私も記憶に定かではないが、ある意味で猛暑凄まじい今夏において、ボヤけた脳内を活性化させる上で、これほど最適な音楽は他にないと思う。
何かとHR/HMには少々暑苦しいイメージを抱いてしまうかもしれないが、疾風のように駆け抜けるGama Bombの音塊は、独特な爽快感を伴ってリスナーの脳をきっと活性化することだろう。

その音楽性故、興味のない方にはあまりお勧めはしないが、スラッシャーを自認するなら2013年度必聴のアルバムということで間違いはない。
完全に主観だが、昔から私の中で夏と言えばTUBEやサザン、ではなく、やはりスラッシュメタルなのである。





The Terror Tapes
Gama Bomb
The Terror Tapes
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