ねおでっど日記

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イマドキのコンピレーション・ライフ

Urban Night Lounge -LUXURY DRIVING- Performed by The Illuminati

V.A.「Urban Night Lounge -Luxury Driving-」by The Illuminati ★★★★☆


PodcastはCDに勝てない

単刀直入に言うと、コンピレーションアルバムの出来はそのレーベルの企画力に左右されると言っても過言ではない。
特に音楽CDの不況が叫ばれる昨今、目に見えて小売店から減少したのはコンピCD及びDJによるMixCDである。
これは版権の問題とセットで考えなければならない事案だが、つまりレーベルにとっては、CDを制作する労力に比べて利ざやが少ないということも意味している。

例えば、私が「K-Style」や「Tokyo Rave」といったMixCDをリリースしていた頃は、初回出荷枚数、所謂イニシャルで2000枚はもちろんのこと、最終的に1万枚、いや2万枚という売上目標は当然に目指す数値として設定されていた記憶がある。
あれから10年以上が経ち、2014年現在のレコード業界の損益分岐点は不明だが、少なくともCDというフォーマットで出す以上、制作費の回収は当然ながら、シリーズとして知名度を高めていくパブリシティも必要となってくる。
こうした経費を考えていけば、よほどの企画力がない限り、レーベルも簡単にGOを出せない状況にあることは明白だ。

加えて、近年は無料で音楽を味わえるPodcastが全盛期を迎えており、コンピCD及びMixCDはその存在自体が風前の灯であることも忘れてはならない。
要するに、消費者の心理において、わざわざ2000円前後の対価を支払ってコンピCDを購入するという価値観が揺らいでいるのだ。

ここで私見を述べるとするならば、Podcastとはあくまでも「番組」に過ぎず、決して「作品」とは言えない代物であるということ。
対してCDという物理的なフォーマットでリリースされるコンピレーションアルバムとは、中身の選曲はもちろんのこと、ジャケットのアートワーク及びブックレットの質感など、全てがコンセプチュアルに彩られた「作品」と定義して然るべき存在である。

これはかつて、TranceシーンにおいてTiestoは「Nyana」を、Progressive HouseにおいてSashaは「Involver」を、Minimal TechnoにおいてRichie Hawtinは「Decks, EFX & 909」を、それぞれがシーンの代名詞となるMixCDを発表してきたことからも分かる通り、Podcastとは確実に一線を画すものだ。
ダウンロード販売が目立ってきた今は昔ほどの影響力はないかもしれないが、未だにCDの存在価値は高いと言える好例ではないだろうか。



コンピレーションアルバムの意義

さて、今宵紹介する「作品」は、Urban Night Loungeというコンピレーションアルバムである。
すでに1作目となる「Urban Night Lounge R&B Mellow Driving」は昨年の12月にリリースされており、今月になって2作目となる「Urban Night Lounge -Luxury Driving-」が発表されたばかり。
タイトルのイメージをそのまま絵にしたかのようなアートワークも目を引くが、注目すべきは中身にある。

曲目を見れば一目瞭然なのだが、収録されている楽曲は全てここ最近のTOP40、つまりビルボードミュージックが主である。
過去には「NOW」等、洋楽のヒット曲をコンパイルしたCDなどはいくつもあったが、Urban Night Loungeの特徴は全てRemix(噛み砕いて言えばカバー)であるということ。
つまり、オリジナル音源は一切収録していない。
しかもそのRemix作業は、The Illuminatiという新進気鋭(?)のアーティスト1人が手掛けているのだ。

これが何を意味するのか、ぜひ各自でCDを実際に聴いて頂きたいのだが、要は本作のアーバンでラグジュアリーな世界観が最初から最後まで見事に貫かれているということ、これを私は皆様にお伝えしておきたい。
Remixされた曲調もこのシリーズの意志を具現化するように、ピアノを中心に据えたエピックでメロウなハウスの応酬であり、各楽曲のクオリティの高さには思わずこちらの頬も緩みっぱなしだ。
はっきり申し上げて、誰もが街角で聴いたことのあるセルアウトな音楽が、ここまで新鮮に心地良く耳に響いてくるRemixというのは、世界各地でEDM全盛の今、大変貴重であると言わざるを得ない。

日本人好み、と言ってしまえば簡単だが、少し前にジブリをモチーフとしたピアノハウスが流行した経緯があるだけに、この「作品」の存在感は決して小さくない。
加えて、ホームリスニング及びドライブミュージックに焦点を当てた内容にはとても好感が持てるし、そもそもコンピレーションアルバムとはTPOに応じて活用されるべきものだと私は考えている。

音楽は、詰まるところBGMである。
人は何かをしながら音楽と対峙するものだ。
もちろんそれが全てではないにしても、コンピレーションアルバムの意義とはまさにそこにある。



このUrban Night Loungeは、私たちが忘れかけていたコンピCDの楽しみ方を再提案してくれたシリーズとも言えよう。
楽曲の構成はノンストップMixではないので、曲ごとにダウンロード購入も可能だが、ぜひCDをその手に取ってこの提案を受け入れてみて欲しい。
Podcastでは味わえない、CD特有のコンセプチュアルという意味を、あなたはきっと噛み締めることが出来るはずだ。

願わくば、音楽好きの皆様にとって、本作がより良いコンピレーション・ライフの糧となりますように。
2014年の今時、このポテンシャルの高さは注目に値する。



Urban Night Lounge -R&B MELLOW DRIVING-
V.A.
Urban Night Lounge -R&B MELLOW DRIVING-
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Urban Night Lounge -LUXURY DRIVING- Performed by The Illuminati
V.A.
Urban Night Lounge -LUXURY DRIVING- Performed by The Illuminati
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