ねおでっど日記

間違いなくたぶん、個人の主観です

ジェント化する世界(Widek)

Widek「Outside the Universe」★★★★★


2014年上半期ベストアルバム

Djent(ジェント)。
この言葉、一般の方には聞き慣れない言葉かもしれない。
私もMeshuggahやAnimals As Leadersで洗礼を受けたクチだが、要は7弦ギターを用いたポリリズムでトライバル且つプログレッシブなリフ構成、音質、旋律を指すんだろうと思う。
ここ数年ではAmbientと結合したAmbidjentというジャンルも生まれており、予断を許さない。
ただ、以下のWikipediaにもあるように最近ではおよそ漠然とした定義になっている模様なので、本記事ではこれ以上深入りはしないつもりだ。


「ジェント (Djent)」という言葉は、2000年代初期にメシュガーのギタリスト、フレドリック・トーデンダル(Fredrik Thordendal) による造語として発生し、ペリフェリーのミーシャ・マンソー(Misha Mansoor、デビュー前からインターネットフォーラムへの投稿等で知られていた)によってインターネットを通じて一般的になった。

7弦ギターもしくは8弦ギターの低音弦上でのパワーコードとブリッジミュート(倍音を抑え、低音を強調するために用いられる奏法)によって得られる独特なディストーションサウンドを擬声語として表したものであり、 日本語では「ズギョン」「ズギャウ」程度の意味である。主に旧来の6弦ギターとサウンドの違いを指す意味で用いられるが、かなりカジュアルな用いられ方もされ、その指す所は本来の意味から離れ一定でなくなりつつある 。(以上、Wikipediaより抜粋)


では早速だが、今宵ご紹介する音楽はポーランド出身のWidekによる「Outside the Universe」というアルバム。
まさにDjentの塊のような作品と言えるのだが、まずは私の軽薄な言葉を語る前に、1度試聴して頂きたいと思う。



全編、ほぼインストの内容だけに、初見ではポストロックやポストメタルのような形態を想起した方が多いのではないだろうか。
また、人によってはスウェーデンのAtomaのようなプログレッシブでサイケデリックな音楽を連想したかもしれない。
私などは思わずUlrich SchnaussやTychoなどのモダン系シューゲイザーを彷彿とさせたのだが、いかがだろう。

一言、確実に言えるのは、この得体の知れない音楽が素晴らしく心地良く私の脳内に響き渡ることだ。
シューゲイザー的に浮遊する旋律と奇妙なコード進行、そしてDjent全開なギターフレーズ。
これら音の細胞が見事なまでに有機的に結合し、その世界観含め、極めて宇宙的な作風となっていることは感嘆に値する。

「宇宙的」とは我ながら語彙の貧困さに嫌気がさすが、それだけアトモスフィリックに、そしてプログレッシブに傾倒した作品だろうと思う。
(アルバムタイトルが「Outside the Universe」だから尚更そう感じてしまうのも無理はない。)
また、メタルはもちろんのこと、シューゲイザーからの影響も否定出来ず、冒頭で述べたAmbidjentという枠内では到底収まりきれない音楽性であることもお分かり頂けるかと思う。

これを1人の人間が仕上げたとは甚だ驚異的だが、そう、Widekの実体、それは独りのギタリストによるソロプロジェクトである。
Club Music界隈で喩えるなら、いわゆる宅録職人という位置付けであり、例えばElectronica系では同じくギタリストでもあるThe Flashbulb的とも言えよう。

しかしながら、ここまで叙情的にエキゾチックな郷愁感を漂わすとは彼が只者ではないことは明らかだ。
よほどの音楽的素養とエンジニア技術に長けていないと、本作のような作品を産み出すことは到底不可能である。

残念なことに日本では未だCD化されておらず、インターネットでのデジタルダウンロードが入手方法の主となるが、今後の活躍が楽しみなアーティストであることに異論はない。(同郷で同ジャンルのGru含む。)

こうしたDjent系の作品は年々増加傾向にあるものの、Widekが持つメロディセンス、そして世界観にはなかなか太刀打ち出来るアーティストもいないのではないか、そんな感覚さえ覚えてしまうほどの傑作である。

私が思うに、ギターソロアルバムとしてみればSteve Vaiの「Passion and Warfare」の衝撃に近い。
文句なしに2014年上半期ベストアルバムだ。





http://widekmusic.bandcamp.com
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