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音楽を中心に様々なジャンルを勝手にレビューしていくブログ。Produced by DJ NeO a.k.a. SPRIGGAN

【Pop】進撃のダフトパンク

RANDOM ACCESS MEMORIES

Daft Punk「Random Access Memories」★★★★★


2013年上半期ベストアルバム

Daft Punkが8年ぶりに新作を発表した。
ここ最近、多忙を極めていた私も、ようやく落ち着いて彼らの音源をチェックすることが出来た。

結論から言おう。
新作「Random Access Memories」は、彼らにとっての最高傑作である。
この無限に広がる曼荼羅的小宇宙はまさにDaft Punkにしか産み出せない空間だろう。

日本では未だに「One More Time」のイメージが強いが、彼らの本質は飽くなきポップの追求にある。
もはや使い古された言葉だが、デジタルとアナログの融合という人類永遠のテーマを、フレンチ・エレクトロというツールで独自解釈することにDaft Punkの存在意義がある。

ご存知の通り、前作までの彼らは、まるで近未来を予見させるかのような、それはそれは切っ先鋭いダンスサウンドで世界を魅了した。
ところが本作では、過去にこの地球で流行したソウルやファンクといった、所謂ディスコサウンドに着目している。
これには普段からNu Disco近辺のジャンルを片っ端からチェックしている私にとっても、本作への好印象に拍車をかける結果となったことは言うまでもない。

Daft Punkがどれほど本気で本作に取り組んだのか、それはゲスト参加しているアーティストのラインナップを見れば一目瞭然なのだが、とはいえ、サウンド的には単純にオールドスクールな過去のディスコに回帰しているわけではない。
各楽曲それぞれにDaft Punk流の近未来的解釈が至るところにちりばめられ、それはまるで壮大な叙事詩のようにドラマティックに展開しているのだ。
このさじ加減が絶妙であり、味付け、盛付けともにNu Disco界のアイアンシェフと呼んで語弊はない。
また、アルバム全体の雰囲気は温厚で従順だが、一定の緊張感は最後まで保たれており、加えて捨て曲なしという驚異的な楽曲クオリティのおかげもあって、随分と引き締まった印象にも見える。

サンプリング・ミュージックが全盛の今、このアナログ感は一言で言って、流石であると心の底から称賛せざるを得ないアルバムだ。
もし、この作品が退屈に感じる方がいらっしゃるならば、Disco Muisc及びClub Musicの歴史をあと2〜3周ほど回ってくればきっとこの素晴らしさに気付けるはずだ。
(誤解を承知であえて言わせてもらうなら、本作の対象年齢はきっと35歳以上!)

1つ言えるのは、Daft Punkの作品の中で、最もホームリスニングに適した音楽であるということ。
そこに物足りなさを感じる向きがあるのも当然の反応だろうと私は思う。
恐らく多くのファンは昨今のEDMに触発されたかのようなエレクトロブリブリなクラブサウンドを期待していただろうから。

そういった淡い期待は1曲目「Give life back to music」から素敵に裏切られる結果となるわけだが、しかし、この裏切りは本当にセクシーで魅惑的だ。
是非、夜の帳が下りてから、出来ればヘッドフォンで、それも落ち着いた環境でこのめくるめく音空間にダイブしてみて欲しい。
感覚的にはバック・トゥ・ザ・フューチャーのような、奇妙で心地良いカタルシスが得られるはずだ。
恐らく巷では懐古主義といった批判もあるだろうが、中身をよく聴けばそれも次第に雲集霧散するに違いない。
間違いなく、今年の上半期を代表する名盤である。

それにしても、8年間も地球を放ったらかしにして、一体この2人はどこの宇宙を旅して来たと言うのだろうか。
(途中、トロン・レガシーのサントラ製作という仕事もあったが。)
けれども、この長い沈黙期間によって彼らの音楽性はさらに研ぎ澄まされ、結果としてこのような大傑作を産み落としたのだから、意味のある8年間だったと言えよう。

それでも次回作まではこれほど待たされたくないと思う。
これからもずっと、地球には彼らが必要なのだ。
その事を改めて確信した次第である。



RANDOM ACCESS MEMORIES

RANDOM ACCESS MEMORIES

  • アーティスト:DAFT PUNK
  • 発売日: 2013/05/17
  • メディア: CD