Poets Of The Fall「Jealous Gods」★★★★★
フィンランド産のメロディアスなハードロックを奏でるPoets Of The Fall。
2003年から活動する彼らの歴史において、最高傑作と言っても過言ではないのがこの6作目(2014年発表)である。
2005年発表のデビューアルバム「Signs of Life」が長らく私の中で愛聴盤となっていたが、恐らく本作がそれに取って代わることになるだろう。
原点回帰というよりは、バンドとしての円熟味が増し、随分と大人になった印象を受ける本作。
冒頭でハードロックと形容したように、2作目以降はエッヂの効いたオルタナ色の濃いサウンドを得意としていたはずが、この「Jealous Gods」は一転してAOR的なアプローチである。
しかし、これが大成功。
元々の卓越したメロディセンスの良さもあり、そこに創意工夫あふれる「いぶし銀」なアレンジが施され、Poets Of The Fall史上、最も聴きやすい作品となっているのだ。
特にオープニングを飾る「Daze」の瞬発力及び突破力には驚きを隠せない。
3分15秒付近から展開するCメロのコード進行及びブレイクを挟むアレンジの素晴らしさには思わず言葉を失ってしまった。
このおかげで、本作では控え目で落ち着いた印象を受けるボーカルの立ち振る舞いが逆に際立ってくるあたり、これを全て計算の内というなら末恐ろしいバンドである。
また、タイトル曲の「Jealous Gods」や「Rebirth」「Nothing Stays the Same」に代表されるように、バラードもしくはパワーバラード系楽曲のクオリティは相変わらず質が高く、これにより「Rumors」や「Clear Blue Sky」「Choice Millionaire」のようなアップテンポなナンバーが一層魅力を増しているところも注目に値する。
その他、まるでOf Monsters and Menのような牧歌的な雰囲気を漂わせる「Love Will Come to You」や、インスト曲「Rogue」がアルバムのアクセント的な役割を果たしており、全体の完成度が異様に高いのも特徴的だ。
すでにリリースから1年が経過しているが、まさにPoets Of The Fallは今が旬ではないだろうか。
古くはBon JoviからDef Lepard、Journey、Toto、Asia、最近ならNickelbackやVertical Horizon、DaughtryやLovexなど、全てのメロディアスロックファンにとって、必聴の1枚である。
願わくば、単独での来日公演をぜひ観てみたいものだ。
Poets of the Fall - Daze (Official Video) - YouTube