Gareth Emery 「100 Reasons To Live」★★★★★
UK出身のTrance系DJ/Producer、Gareth Thomas Rhys Emery。
これまでに「Exposure」や「Metropolis」など、数々の名曲を産み落としてきた中堅ベテラン勢に属する35歳のイケメンである。
そんな彼が4/1に発表したばかりの最新アルバム「100 Reasons To Live」を紹介したい。
ところで、自分がTrance DJをやっているわりに、当blogにおいてTrance系の音楽を取り上げることが少なく、特にこれは意識したわけでもないのだが、今回取り上げるこの作品は、Trance史に名を刻む屈指の名作と言って過言ではない。
出来れば、Trance系のみならず、多くの方に聴いて欲しい1枚である。
思えば、EDMというモンスターが世界各地を闊歩して数年が経った。
海外製EDM、いわゆるアッパーなプログレッシブハウス系のフェスチューンが巷に溢れ、PLURという号令の下、「バカになれ」という同調圧力で世界中を席巻したのも記憶に新しい。
こうしたEDMの起点となっていたTranceカルチャーは一時的に影を潜め、しかしながら、虎視眈々と再浮上のきっかけを狙っていた。
そう、どの音楽にも流行り廃りがあるのは過去の歴史が証明している。
本作の存在意義はまさにそこにある。
EDMからTranceへと、巷の流行を移行させるに十分なポテンシャルを秘めた傑作なのである。
哀愁感と疾走感、そして手触りの良いプリミティブな音色がちりばめられた14曲。
そのどれもが美しいアレンジを施され、極めて理路整然としたサウンドに仕上がっているので、私達日本人の耳にも馴染みやすいと言えるのではないだろうか。
例えば、分かりやすいところで、ZeddやAvicii、Alesso、SHMなど定番的な哀愁系EDMが好きな方は、本作を迷わず手に取って頂きたい。
そして邦楽なら、例えばCTS好きの方には間違いなく、強くお勧めしたい。
この辺は私も一介のDJとして、ファンの皆さんに必ず気に入って頂ける自信がある。
全曲素晴らしいのも嬉しい驚きだが、特に「Reckless」「We Were Young」「CVNT5」「Make It Happen」「Hands」「Save Me」などは先述したZedd的アプローチを徹底的に研究した痕跡があり、そこにChicane風のアトモスフィリックな世界観を加味することで、非常に奥行きのあるTranceサウンドに仕上がっている。
ちなみにBPMは127〜130付近ということで、曲のテンポは抑制されているものの、EDMに近接したTranceサウンドとして、幅広いニーズに応える内容となっている。
総じて一般リスナーにも聴きやすく、この作品をきっかけにTranceの領域へと足を踏み入れる方もきっと増えることだろう。
間違いなく、現時点において上半期No.1のクラブミュージック作品である。
Gareth Emery feat. Wayward Daughter - Reckless
Gareth Emery Unplugged: Save Me (feat. Christina Novelli)
Gareth Emery feat. Ashley Wallbridge - CVNT5