Dizzy Mizz Lizzy「Forward In Reverse」★★★★★
Dizzy Mizz Lizzyと言えばGlory。
Gloryと言えばDizzy Mizz Lizzy。
そんな彼らが20年ぶりにニューアルバムの発売まで漕ぎ着けた。
バンドとしては3作目となるオリジナルフルアルバムである。
オープニングの「Phlying Pharaoh」こそ不穏な空気で始まる本作だが、続く「Forward in Reverse」で往年のファンは確かな手応えを感じ始めるだろう。
そして3曲目「Terified in Paradise」、4曲目「Brainless」でDizzy Mizz Lizzyが完全にシーンに復帰したことを知ることになる。
また、5曲目「Something so Familiar」というバラードで、本作が過去最高傑作であることを悟るだろう。
そう、すでに前半でDizzy Mizz Lizzy節が四方八方に炸裂しているのだ。
(ちなみにDizzy Mizz Lizzy節とは、一見グランジやオルタナの外殻を纏いながらも、オーセンティックで骨太なハードロックに帰結しているスタイルを指す。)
およそ常人では考えつかないようなコード進行と特徴的な美旋律も健在であり、それが独特な爽快感に繋がっていることも改めてこのバンドの評価を底上げしているように思う。
後半についても捨て曲なしの展開となっており、特に本作はDJ Mixのように曲間がまるでノンストップのように紡がれているのも塊感があって素晴らしい。
全編に漂うLed Zeppelinへのオマージュに加え、90年代から続くレトロフューチャーなオルタナ要素が溶け合い、ある意味でDizzy Mizz Lizzy史上、最もプログレッシブでヘヴィな作品とも言えるだろう。
例えばそれはインスト曲「Frey」から「Mindgasm」への流れが決定的な証左である。
また、その後に続く「Fly Above the Radar」、「I Would If I Could but I Can't」、「Say It to Me Anyway」の終盤の構成についても文句のつけようがない。
全12曲、聴き終わってみれば傑作の一言しか出て来ないのだ。
いや、控えめに言っても名盤ではないだろうか?
何よりも、この時代にあってロックの根源的な素晴らしさをDizzy Mizz Lizzy流に各楽曲で明快に語ってくれているところがファンとしては嬉しくてたまらない。
冒頭で「Dizzy Mizz Lizzyと言えばGlory」と述べたばかりだが、もはやその形容の仕方は時代錯誤なのかもしれない。
本作をもって、名実ともにデンマーク、いやヨーロッパを代表するロックバンドとして崇め奉られるべき存在となったと思う。
もはや最新のDizzy Mizz Lizzyが、最高のDizzy Mizz Lizzyなのである。
Dizzy Mizz Lizzy - I Would If I Could But I Can't
Dizzy Mizz Lizzy - Made To Believe