Yoe Mase「Life in Boxes」★★★★☆
エモーショナル&ユーフォリックをテーマに、ポストEDM路線をひた走る新進気鋭の若手アーティスト、Yoe Mase。
満を持して、彼のデビューアルバム「Life in Boxes」が発表されたので紹介しておきたい。
EDMというと派手で騒がしいサウンドを想起してしまうが、Yoe MaseのベクトルはどちらかというとElectronicaやChillout方向に向いている。
これは既発の楽曲群をチェックしてもらえればお分かりかと思うが、ポストEDMという未来を見据えた彼の作曲姿勢には非常に好感が持てる。
エモーショナル&ユーフォリックという要素が有効なのはどのジャンルでも同じだ。
これは数年前よりメインストリームを席巻しているTropical Houseを見れば一目瞭然であろう。
このデビューアルバムにしても、心地良いElectronicなサウンドが全編を包み、ひたすらチルウェイブ的で、ある種ノスタルジックな雰囲気さえ漂わせているところはおよそ新人らしからぬ佇まいである。
そのため、TychoやCinnamon Chasersを彷彿とさせる場面もあるが、むしろ往年のIDM系から脈々と語り継がれるElectronicaの歴史に近いものを感じる。
その辺がいまいちピンと来ない場合は「Despite All」や「Look to the Dawn」「Black or White」などの歌モノからまずはチェックしてみて欲しい。
エモーショナル&ユーフォリック、つまりは暗闇の中でメロウな炎が煌煌ときらめき、Electronicな骨格でありながらも人肌の温もりにあふれた、今年上半期を代表するポストEDM的な作品であることに異論はない。
MadeonやPorter Robinsonとは少々ベクトルが異なるが、Yoe Maseも次代を担うアーティストであることを決定的に印象付けた快作である。