nanobii「Chipland」★★★★★
音楽に関して、スウェーデンという国はイノベーションが得意です。
例えばNWOBHMやLAメタルなバンドサウンドを忠実に再現するアーティストなどが後を絶たないことからも分かると思います。
そこには古き良きものを見事に現代風に蘇らせる独特な北欧気質があるとさえ言えるでしょう。
いやー、いいですね。バッドボーイズ系R&Rって、最高ですわ!
ところでハピコアってご存知ですか?
クラブミュージックでも歴史の古いアッパー系の音楽です。
しかもこのジャンルは細分化が激しく、いろんな「コア」な音楽が生まれては消えるの繰り返し。
それでもJ-Coreなど日本ならではのジャンルも厚い支持を得ておりまして、歴史もあります。
そもそも、ハピコアとはハッピーハードコアの略です。
ハッピーなのにハードコアなんです。
ハードコアという重たい言葉をハッピーという言葉で打ち消してるんですね。
プラマイゼロになる素晴らしいジャンル名だと僕は思います。
こうした相対する造語については僕の敬愛するみうらじゅん氏もよく使っています。
氏が提唱した「親孝行プレイ」という言葉に代表されるように、重い言葉をポップにするという、所謂人生を楽しく生きるコツみたいなものを感じます。
だがしかし、そうなるとハードコアハッピーじゃないか、というご指摘もあろうかと思いますが、そこはすみません。
このジャンル、UK発祥なので英語の構造上、形容詞が先に来ちゃいました(笑
前置きはこの辺にして、ハピコア以降のハードコア界隈って混沌としてて、昔の心地良さを淡く残したかのようなアーティストってここ10年ぐらい、ほとんどいなかったと思うんですよ。
僕もハードコアに関してはDJ SHARPNELに代表されるナードコアとかをたまに聴くぐらいで、この辺のアンテナの低さは否めないのですが、少なくともポップカルチャーという領域においてはハピコアの名前すら出てなかったと思います。
それが最近風向きが変わってきました。
今回紹介するスウェーデンの若手クリエイター、nanobiiが変えたとも言えます。
何とあのMonstercatレーベルからnanobiiのハピコア楽曲がリリースされたのです。
元々Monstercatのジャンルの幅広さには定評がありましたが、ついに禁断のハピコアまで侵食したか、というのが素直な感想。
いや、別に禁断でもないわけで、単純にnanobiiのセンスが良かったからなんです。
特に、この曲。
nanobiiは以前にもMonstercatからのリリースはありますが、突出してこの曲は素晴らしいです。
8bit風なシンセのブレイクと痛快なハードコアなリズムが大変心地良いですね。
リズムは速いのに極限までエモーショナル。
まさに相反する要素がバランスよく楽曲として成立しているところに、次世代ハピコアとしてのnanobiiの存在感があります。
ジャンルというのは面白いもので、流行りが落ち着くとまるで誰もいなかったようなゴーストタウンと化す場合があります。
それでも好きな人はそのジャンルの曲を作り続けていますし、nanobiiにしても急にこうした楽曲をやり始めたわけではないと思います。
地道に好きなものを形にして、地道に発信し続けた結果、こうしてバズってるわけです。
先日僕が書いた記事じゃないですが、やはり発信力って大事ですね。
ネットが普及して誰もが自己主張出来る時代だからこそ、改めてそう思います。
nanobiiについてはまだまだ謎の多い存在で、M3などでもその名前はよく見かけますが、今後も要注目のアーティストとしてチェックしていきたいと思います。
最後に彼の最新DJ Mixを掲載しておきますので、気になった方はチェックしてみてください。
Nice work, nanobii.
Come to Japan!!