Anthrax「State Of Euphoria」★★★★★
昔からスラッシュ四天王*1という言葉、あまり好きではないです。
どうにもレコード会社の都合というか、当時、この四天王に入るべきバンドは他にもちらほらいたからです。(例:TestamentやExodusなど)
ジャーマンスラッシュ三羽烏*2についても、確かに響きとしては心地良いですし、マーケティングしやすいのは分かりますけども、、、そこに入れなかった良質なバンド達が歴史の闇に埋もれてしまうのではないか、そこに不満があるわけです。
さて、冒頭から飲み屋での愚痴みたいな話になりましたが、ひとまず、今宵はAnthraxの名盤を紹介したいと思います。
まず、誰が何と言おうと、僕はこの「State Of Euphoria」推しです。
もちろん、彼らのスタイルが確立した前作「Among the Living」も素晴らしいです。
その前の2ndや1stだって、そりゃもうかっこいいですよ。
でも、この「State Of Euphoria」だけは別格なんです。
理由は3つ。
- まずギターリフ、特にバッキングが素晴らしい。
- そして曲の展開がインテレクチュアルで飽きさせない。
- 最後に、捨て曲がない、これはとても大事です。
では、収録曲を見てみましょう。(赤字はオススメ曲。)
- Be All, End All
- Out Of Sight, Out Of Mind
- Make Me Laugh
- Antisocial
- Who Cares Wins
- Now It's Dark
- Schism
- Misery Loves Company
- 13
- Finale
4曲目の「Antisocial」はカバー曲なので純粋なオリジナルとしては9曲となります。
中でも「Now It's Dark」は飛び抜けて素晴らしいスラッシュナンバーとなっています。
これ、実際にギターを弾いてコピーしてた僕が言うので間違いないです。
このバッキングの面白さ、そして軽快さはAnthrax史上でもトップクラス。
恐らくボーカルなしでも、つまりインストナンバーでも十二分に楽しめるはず。
展開もよく考えられてますし、彼らがライブバンドとして定評のある理由はすでにこの辺から始まっていたのではないかと、そう思わざるを得ないクオリティなんですね。
それから「Make Me Laugh」「Who Cares Wins」「Schism」などリフマスターな名曲がズラリと並びます。
特に「Be All, End All」は現在のライブでもお馴染みの代表曲となっていますが、浮遊感と疾走感を究めたギターソロが秀逸です。
また、「Out Of Sight, Out Of Mind」や「Misery Loves Company」におけるしたたかなポップさは当時のスラッシュメタルとしては異質で、ここがAnthrax最大の魅力とも言えます。
分かりやすく言えば、メタルとハードコアのクロスオーバー。
当時、もう少しハードコア寄りのバンドとしてスケーターにも大人気だったSuicidal Tendenciesも有名でしたが、Anthraxはこうしたサブカルチャーと融和する音楽性も内包しており、結果的にメタル客層にもハードコア客層にも受け入れられていたと記憶しています。
特にボーカルがジョン・ブッシュに交代してからはさらにハードコア色が強まり、音楽性にも多少の変化が見られるのですが、リフやバッキングから生み出される独特のグルーヴ感は不変であり、さらに言えば本作「State Of Euphoria」の影響下にあったことは言うまでもないでしょう。
すでにバンド結成から35年以上が経過するも、彼らは現在も精力的に活動中です。
最近の新譜も突き抜けて素晴らしく、Metallicaのようなガッカリ感は皆無です。
(個人的に、AnthraxとTestamentの新譜は安心して買えてます。)
これについては、良質なギターリフを量産するメンバーが不変であることも好材料ですね。
その名もスコット・イアン。
間違いなく、HR/HMの長い歴史の中で、その名を刻む名ギタリストです。
このキャラクターも含めて、リスペクトです。
彼の生み出すギターリフによって、Anthraxは高く評価されてきました。
その意味を知る上でも、本作は必聴の名盤と言えるわけであります。
最後に、名カバー「Antisocial」と彼のインタビューを転載しておきたいと思います。
今からでも遅くないので、特にスケーターやボーダーはチェックしてみて欲しいですね。