さて、今年のULTRA JAPAN、DJ陣で注目したいのはもちろんCarl Cox、と言いたいところですが僕的にはSteve Angelloのプレイに期待しています。
彼はこれまで様々な問題提起をシーンに投げかけてきました。
ちょうど1年前のインタビュー記事ですが、いくつか発言を抜粋してみます。
- 正直今ダンスミュージックの方向性には全く興味はない
- ダンスミュージック自体ストーリー性がない
- 皆お金を儲けようとしている
- 俺はずっと「アーティスト」になりたかった
EDMシーンの内側にいる人間だからこそ肌で感じたのでしょうか。
今のEDMシーンはバブルだ、と言わんばかりのネガティブな視点を持っています。
ただ、こうした考えは今に始まったわけではなく、2013年のSwedish House Mafiaの解散以降、彼の言動はたびたび注目されてきました。
この辺はdeadmau5ともキャラがカブりそうなところですが、実際問題、Size Recordsというレーベルを立ち上げ、テックでグルーヴィーなElectro Houseをコンスタントにリリースしているところを見ると、やはり相当な危機感を持ってEDMシーンと対峙しているんだなと痛感します。
(というより、もがいている、と言った方が適切かもしれませんが。)
Size Recordsのリリースで僕が好きな曲を少し紹介しますね。
特に3つめの「Make Love(CYA Remix)」という曲は今年上半期のベストトラックに挙げてもいいぐらいのクオリティだと思います。
Steve Angelloも先日のULTRA SINGAPOLEで実際にプレイしていましたよ。
メインフロアで。
もう1度言います、これをメインフロアでかけてました。
その時の中盤の選曲は、フェスミュージックというよりはクラブミュージックの構成に近い内容でしたが、彼なりの「ストーリー性」を追求した結果だろうと思います。
常にMixにこだわる僕としては、その辺を高く評価し、期待しています。
というのも、国内では数年前からEDM系のフェスが盛り上がっていますが、なかなかその勢いがクラブシーンに波及していないようにも感じるのです。
同じダンスミュージックという観点で言えば、もっとクラブシーンが賑わってもおかしくありません。
確かにインスタ映えするフェスと違い、クラブ本来のクローズドでダーティーなイメージも原因として考えられるでしょう。
それでも風営法が改正された今、ナイトビジネスとしてはチャンスとしか言いようがない時期だと思うんですね。
それからフェスとクラブは別物という考え方ですが、果たしてそれは正解であり、一方では誤解ではないかと思います。
そもそも、この2つのカルチャーを線で繋ごうとしているのは、過去のULTRAやEDCのラインナップを見れば一目瞭然です。
特にULTRA JAPANに関してはディレクターの小橋氏が言うように「EDMフェスではない」と断言しています。
「ダンスミュージックの祭典である」と。
ダンスミュージックにおけるクラブというのは、まさに根幹をなす場所です。
近年、一般層にもエレクトロニックなダンスミュージックがこうして浸透したわけですから、その熱気が少しでもクラブにフィードバックされるべきではないかと。
まさにSteve Angelloについても、それを踏まえた上での現在のプレイ内容があると思います。
つまり、アゲアゲのヒット曲連発のプレイとは一線を画しているという点。
この辺に注目してもらえるとまた違った視点から彼のプレイを見ることが出来るかもしれません。
では、最後に彼の最新プレイ動画を紹介しておきますね。
この長いオープニングを見れば、彼がいかにストーリー性にこだわっているかが分かると思います。
ひとまずULTRA JAPANの注目アーティスト記事はこれにて一旦終了します。
僕も今年は遊びに行けるか微妙な情勢ですが、行けない時は中継で楽しみたいと思います。 ハイ。