Robert Miles「23AM」★★★★★
昨年、47歳という若さで亡くなったRobert Miles。
死因は転移性のがんということでしたが、本当にショックでした。
誰それ?という方も多いと思いますが、名曲「Children」はTOKIOの某番組でもヘビロテされていましたので、この曲自体は耳にしたことがあるかもしれません。
何れにせよ、この曲が世界的にヒットしたおかげでTrance Musicが世の中に広く認知されることになりました。(当時はドリームハウスとか呼ばれてましたが)
彼の死について、多くのTrance系アーティストが追悼のメッセージを送ったのは、そういった偉人的且つ先駆者的存在へのリスペクトがあったからなのです。
この1stアルバム「Dreamland」は各国で驚異的なセールスを記録し、今でも彼の代名詞的な作品となっております。
しかしながら、アルバムの完成度という点から評価すると、少し単調な側面もありました。
そこから大幅にブラッシュアップさせた作品が、今宵お勧めする2ndアルバム「23 AM」となります。
代表曲「Freedom」のPVがYoutubeにありましたので、まずはそちらからどうぞです。
いかがでしょうか。
当時のTrance Musicと言えば、Houseよりもアップテンポで多幸感あふれるシンセの洪水を骨格としたものがほとんどでしたが、Robert Milesだけは違う視点を持っていました。(推測になりますが、BTやChicaneも彼と同じ視点を持っていたはずです。)
恐らく、彼の表現手法の中で、ジャンルに束縛されないというポリシーがあったと思うんですね。
それを証拠に、この「23 AM」に収録されている楽曲はアンビエントやブレイクビーツ、ドラムンベースなど、1stアルバムよりもバラエティ豊かな内容となっています。
この「Maresias」という曲も、巷で言うところの4つ打ちではありませんが、これもTrance Musicの範疇であることは否定出来ません。
要はジャンルに拘らず、リスナーをTrance状態にさせる音楽、これが本来の意味でのTrance Musicではないかと、世間に問いかけた作品でもあるのです。
(今更言うまでもなく、こうした考え方や視点は、僕の音楽活動における精神的支柱にもなっています。)
Trance Musicはその発祥以降、Psychedelic TranceやUplifting Trance、Progressive Tranceなど、時間の経過とともに細分化も進みましたが、核となる部分は不変であると考えます。
そうした不変で普遍的な部分は大事にしていきたい、そう思わせてくれるのが本作の価値あるところではないでしょうか。
こうした理由から、「23 AM」がRobert Milesの代表作ではないかと。
傑作、いや名盤と断言出来ますが、未聴の方はぜひこの世界観に浸ってみて欲しいです。
ちなみに、名曲「Children」は各方面でRemixされまくってますのでそちらも機会があればご賞味ください。
(Hip HopなChildren)
(Dub StepなChildren)
しかし本当に惜しい人を亡くしましたね。
自分が築いたものを壊すように他分野にチャレンジして、そこからまた原点回帰するっていう音楽系アーティストによくある流れからすれば、Robert Milesもその途上だったはず。(実際、「23 AM」以降の作品は音楽性が迷走していた印象がありました)
原点回帰した彼の姿は叶わぬ夢と消えましたが、改めまして、ご冥福をお祈りします。
Thank you, Robert.
R.I.P.