Smash Into Pieces「Rise & Shine」★★★★★
スウェーデン出身、メロディアスなHRを奏でるSmash Into Piecesの3作目。
5人組の彼らは2008年から活動を開始したものの、デビューアルバムの発表までは5年の歳月を要したという、ある意味で苦労人の印象もあります。
しかしながら、その後は2年毎にアルバムを製作し、コンスタントに発表。
今が旬、という言葉通りに破竹の勢いを持つバンドかと思われます。
それでは早速、PVの方からチェックしてみましょう。
どうでしょう、この溢れ出るNickelback感!
モダンなヘヴィネスとエモーショナルなメロディのバランスがとても良いですね。
こうしたHRサウンドの歴史を紐解けば、1980年代、NWOBHMというムーブメントにおいて中心的役割を果たしたDef Leppardの存在があるのですが、その洗礼を受けた方にとっては懐かしさすら感じるサウンドだと思います。
今やカナダを代表するNickelbackは、このDef Leppardからの影響がとても大きいと思われますが、単純に焼き直しをするのではなく、次世代のHRサウンドを確立させたという点で名実ともにトップクラスのロックバンドと言えます。
もちろん、偉大なるBon Joviの影響も少なからず感じさせますが、こうしたヘヴィネスとメロディアスの相性の良さは、少なくとも1980年代から続く歴史の系譜が証明しているわけであります。
さて、話を戻しますが、Smash Into Piecesの3作目は本当に素晴らしいです。
大陸的な雰囲気を醸し出すNickelbackとは対称的に、北欧らしいウェットな哀愁感が心地良いです。
喩えるなら、DisturbedとLovexを足して2で割ったようなサウンド、でしょうか。
次世代HRと呼ぶにふさわしいモダンなヘヴィネス具合ですが、Breaking Benjamin、Red、Amaranthe、Blessed By A Broken Heart、The Poodles、、、国産だとOne Ok Rockが好きな人も要チェックかと思われます。
個人的にこの「Let Me Be Your Superhero」含む「Turn It Down」と「Merry Go Round」のアルバム冒頭3曲のクオリティが突出しております。
全体的に楽曲そのものがコンパクトなので、後半でダレることもありません。
デビュー時からこのスタイルは変わっていない模様ですが、要するに骨太な歌唱力を前面に押し出した内容なので、重ねて申し上げますが、Nickelback好きには問答無用で気に入ってもらえるバンドであると確信しております。
ただ、楽曲自体がそうしたVocal重視の設計により、正統派HR特有のギターソロが希薄です。(特に本作)
この点は残念でなりませんが、思えばDisturbedなど同系統のバンドもギターを目立たせるというよりも、バンドとしての塊感をアピールすることに重点を置いておりますから、そこに納得して頂ければ古いHR/HMファンの方でも、それほど気になることはないでしょう。
このように、アンプラグドの演奏にも安定感があります。
すでにベテランの風格すら漂わせておりますが、今後の活動がとても楽しみですね。
ぜひまた日本にも来日して欲しいところです。
それから最後に、ドラム担当のThe Apocalypse DJのビジュアルは素晴らしく好印象。
この際、デジタルなエレクトロニック・サウンドをもっと取り入れてもらって、将来的にはPendulumと一緒にEDMフェスのLiveステージでトリを飾ってもらいたいですね。
いや、ほんとに。
※僕の考える次世代HRというのは、エレクトロニクスとオーセンティックの融合です。
ちなみに、現時点で最新楽曲となるのはこちら↓
アートワーク含め、そのコンセプチュアルなアレンジに思わず笑みがこぼれます。