2017年、大分県・真玉海岸にてMelodic Memoriesという野外DJイベントを立ち上げまして、2018年の今年、長崎鼻ビーチリゾートに場所を移し、マルシェと共催する形で規模を大きくします。
そもそも、田舎のビーチでこうした夏フェスみたいなことをやることに、一体何の意味があるのでしょうか。
今回はその真意について、主催の僕が少しお話したいと思います。
背景にあるもの
少子高齢化社会というのは、地方の過疎化とセットで議論されるものです。
大分県も同様でして、若年層の世代が薄く、どこの市町村も人口減に歯止めがかかっていません。
人がいなければ、ちょっとしたイベントも容易には成り立ちませんよね。
もっと言えば、健康保険や年金といった社会保障制度も、人がいる前提でのお話です。
少子化の本当の恐ろしさはこの辺にあって、大袈裟に言えば社会基盤を揺るがしかねない問題なんですね。
こうしたネガティブな状況はどこかで食い止めなきゃいけない。
まずはこの人口減に対する客観的な危機感が背景にありました。
価値あるものに、人は集まる
映画「フィールド・オブ・ドリームス」では田舎のトウモロコシ農家が野球グラウンドを作り、周囲からは白い目で見られますが、結果的に多くのお客さんがその場へ集います。
それはお客さんが「価値のあるもの」と認識したからに他なりません。
つまり、価値を創造することは、田舎という交通の便の悪さなど軽く吹き飛ばす効果があると思います。
そうなると、ただ音楽を流して自分達だけが楽しめればいい、という自己中心的な思考からは脱却することになります。
クオリティ、つまり品質を重視することはお客さん目線になることと同一であり、これは本イベントの根底にある思想です。
どうすれば市外や県外から人が集まるのか、まずはこの点に焦点を当てることにしました。
文化の発信
例えば、音楽そのものはカルチャーです。
特にダンスミュージックカルチャーはフェスミュージックの中心となりつつあり、世界的にもその規模は拡大し続けています。
しかし、音楽それ自体では人を惹きつけられない時代であることも確かです。
そこで僕は音楽とマルシェを融合させることを考えました。
地元で頑張っている飲食店や、田舎に在住するクラフト系作家さんによるアート作品の展示即売、、、要するに食文化や芸術的な文化を音楽とともに発信する試みです。
実はこれ、昨年に「焚火BAR」というマルシェイベントで実践済みでして、「MM'2018」ではさらにグレードアップしていきたいと考えています。
そして人の交流へ
多様な文化が集結すれば、自然に多様な人々が集まります。
人が集まれば、そこに交流が生まれます。
そうした交流が生まれた先にあるもの、、、そこにまた新しい文化が生まれるのです。
従って、文化の発信と人の交流は互いに密接な関係にあることが分かります。
そこで音楽が果たす役割とは、まさに潤滑油のようなものであり、こうした文化の発信と人の交流を円滑にする舞台装置のようなもの、と考えて頂ければ幸いです。
幸運なことに、今のダンスミュージックの根底にある思想は「PLUR」です。
- Peace(平和)
- Love(愛)
- Unity(団結)
- Respect(尊敬)
この4つの思想は「MM」の理念とも一致します。
特に団結と尊敬が意味するところ、つまり他者への理解と共生というテーマは地域活性化の鍵になると思います。
環境保護へのアピール
そして田舎の良さとは、自然環境の良さにあるとも言えます。
コンクリートジャングルの都会では見られないような美しい自然風景、そこにフォーカスすることは環境保護をアピールする絶好の機会ともなります。
本イベントが野外の開催にこだわっているのはまさにその点です。
美しい自然の中だからこそ、音楽を含めた多種多様な文化も一層映えると思うのです。
特に都市生活者においては、このような環境で楽しむフェスは非日常的な空間と言えるでしょうし、地元の方にとっても、きっと新たな発見があるのではないでしょうか。
最終的な着地点
さて、本イベントの最終的な着地点ですが、それは1人でも多くの移住者を増やすことです。
冒頭でも述べたように、田舎の過疎化を少しでも止めたい思いがあります。
そのためにはこの地元、この地域が素晴らしい環境であることを知ってもらう必要がありますし、何よりも魅力的な人材や飲食店などが点在していることを宣伝する良い機会です。
現実に、舞台となる豊後高田市は県外からの移住者をバックアップする体制も整いつつあり、少しずつですが移住者も増え、コミュニティも形成されつつあります。
その流れに寄り添って、地域活性化の一端を担えればと思います。
人の心を掴むには
現在、地元の協力を得ながら準備、企画を行っています。
僕はまず、出店参加者の意識から変えていきたいと思っています。
例えば飲食店の場合「人の心を掴むには、まずは胃袋を掴め」という言葉があるように、その品質には最大限のこだわりを持って欲しいのです。
また、クラフト作品などを展示する作家さんには、オリジナリティという点でその独自性を存分にアピールして欲しいです。
そして自分を含めたDJについては、世界の今のダンスミュージックシーンと変わらないクオリティ、そして風景と馴染む音楽性を提示することが求められます。
(音楽ジャンルはDeep TranceやMelodic House & Technoが中心となります。本記事の最後に僕のDJ MIXを貼り付けていますので、参考にしてみてください。)
それぞれの分野がそれぞれの品質を重視することで、イベント自体の完成度は高まり、結果的にお客さんの満足度も十分得られるのではないかと考えています。
ここからはじまる田舎フェスの形
まだまだ産声を上げたばかりで、実績のないイベントですが、すでに来年、再来年のアイデアが湯水のように湧き出ています。
ひとまずは、今年を成功させることが第一ですが、「MM」が田舎フェスの完成形となるべく、スタッフ一同、頑張っていきたいと思います。
地元の方にはいろいろとご迷惑をおかけするかもしれませんが、地域活性化のため、ご理解ご協力の程、どうぞよろしくお願いいたします。
by NEODEAD (Galatea Production)
Melodic Memories '2018 (MM'2018)
予定:2018年9月1日(土曜日)15時start 21時close
長崎鼻ビーチリゾート(大分県豊後高田市)
NEODEAD presents Deep Trance DJ MIX