「アナベル 死霊館の人形」(2014年)★★☆☆☆
死霊館シリーズの中でもスピンオフ的位置付けの本作。
実話をベースにしているだけに、この人形を見ただけでも不快な気分になりますね。
でも、いきなりネタバレしますけど、本物のアナベル人形は全くの別物です。
本物を使うのは流石にシャレにならないので、映画の「演出」としてこの不気味な顔をした人形を使っているんだろうと思います。
監督はジョン・R・レオネッティ。
あれ?
そうなんです、ジェームズ・ワン監督は製作にクレジットされているだけ。
とはいえ、ジェームズ・ワンの相棒みたいな人ですし、そこは大丈夫でしょうと思ったのも束の間、1作目の「死霊館」より全然怖くない。
何でだろう?と原因を考えてみたものの、舞台設定にそもそも問題があったのかなと。
というのも、今回の舞台は家ではなく、集合住宅なんですね。
いわゆるマンションとかアパートの類い。
そうなるとほら、密室感って薄まるじゃないですか。
ピンチになっても、玄関を出て隣に行けば、夕食の味噌汁でも作ってる年配のご婦人がいるんじゃないかっていう妙な安心感。
例えばこれが、ボロッボロの小汚いアパートで自分たち以外は誰も住んでない、みたいな前フリは欲しかったところです。
さて、本作も子供にまつわるエピソードが展開されますが、前作の「死霊館」でも言及したような「自分のベッドでは絶対に一緒に寝ない親子像」をバッチリ確認出来ます。
しかも今回は乳飲み子ですよ?
そこはやっぱり変な違和感が漂ってしまいました。
実際にね、怖い事象が目前で起きているわけですから、一緒に寝ましょうよ。
そしてクライマックスというか見所は、悪魔がその姿を現したところです。
ところがこれ、やっぱりピンと来ないんですよ。
昔「ジーパーズ・クリーパーズ」というホラー映画がありまして、そこでも同じくクライマックスでは異形の姿をした悪魔が登場します。
何というか、人間に近いその有機的な存在が逆に興醒めしちゃうんですよね。
コスプレっぽいというか、なんというか。
生意気なことを言いますが、キリスト教にはバフォメットという山羊の頭を持った悪魔がいるわけで、古典的過ぎるのかもしれませんが、そちらの方が僕は怖いです。
表情が見えない、読めないというのは本当に恐怖ですよ。
人形が不気味っていうのも、恐らくその辺に理由があると思います。
そもそも、一般的な知識として、例えばサタンとデーモンとデビルの違いをすぐに回答出来る人って限られてきますよね。
僕も無知な方ですから、本作の核心部分、つまり「悪魔が人形を媒介して人間の魂を狙っている」という設定に関して、そこまでの怖さを感じなかった。
「死霊館」シリーズの中で、特に本作が怖いっていう人は、果たしてその物語の核心部分を理解して仰っているのか、それともアメリカンホラーなドッキリ恐怖演出に対して仰っているのか、いまいちその辺が不明なところであります。
ただ、前作でも書きましたが、怖くはないけど話としては面白いんです。
本作にはウォーレン夫妻は登場しませんが、明らかに物語として繋がりを感じるシーンが多く映し出されますからね。
「もっと核心に迫りたい」っていう探偵的な好奇心を刺激する作品であることには違いありません。
どうぞ、未見の方はあまり緊張せずに、サスペンスとして鑑賞して欲しいところです。