「死霊館 エンフィールド事件」(2016年)★★★☆☆
本作は「死霊館」シリーズの正式な続編に当たります。(原題はThe Conjuring 2)
監督も1作目同様、ジェームズ・ワンです。
実はその怖さレベルも1作目同様でして、ホラー映画としてはあまり怖くありません。
むしろドラマ部分、主にウォーレン夫妻を取り巻く状況についてですが、その辺が話として面白いです。
なので、怖さを主眼に置いてしまうと肩透かしを食らってしまうので注意してください。
さて、舞台設定は前作同様、一軒家。
しかし、前作のような郊外にポツンと佇む一軒家ではなく、都市部の住宅地でのお話となります。
この辺は実話をベースにしている以上、仕方のない部分かもしれませんね。
予想通り、親切なご近所さんが要所要所で助けてくれるので、孤独感や閉塞感は希薄でした。
それでも、ウォーレン夫妻に敵対する存在(シスター)が初めてきちんと描かれた作品でもあり、その目的や経緯は最後まで明かされることはなかったものの、鑑賞後は心地良い疲労感と安堵感に包まれる内容となっております。
本作の続編となる「死霊館のシスター」がいよいよ上映開始(2018年9月)となりますが、実のところ楽しみにしている自分がいます。
怖さを求めるというより、話の辻褄を合わせたいという好奇心の方が強いですね。
僕は元々サスペンス系の映画が大好きなので、「死霊館」シリーズ特有の、ホラー映画に傾倒し過ぎない姿勢はある意味で評価に値するのではないかと思っています。
最近観た中では「哭声 コクソン」が良かったです。
サスペンスというカテゴリーの中で、ここまで様々なジャンルをクロスオーバーさせた作品も他に見当たりません。
ある程度、キリスト教の知識は必要かもですが、予備知識なしに何となく観ても十分面白い作品です。
クオリティの高い韓国映画なので、未見の方はぜひご覧頂きたいと思います。
さて、死霊館の話に戻りましょう。
1作目でも観客に示されたように、本作も「騒霊」→「攻撃」→「憑依」という順番で物語が展開していきます。
過去作に比べると登場人物も多く、やや散漫とした印象もありますが、結局最後はウォーレン夫妻の仲睦まじさにほっこりさせられるという、ホラー映画らしくない感情が芽生える作品です。
恐らく、夫妻のファンは多いんでしょうね。
実在する夫妻の映画化にあたり、ある程度の脚色もあるとは思いますが、好感の持てる人物像の仕上がりに、ジェームズ・ワン監督の人柄を垣間見た気分であります。
物語は脚本がしっかりしている分、テンポ良く進行します。
「死霊館」シリーズの中では最もサスペンス要素の濃い作品となっておりますので、じっくりと腰を据えてこの超常現象の目撃者となって頂ければと思います。
僕もそこまで怖くないとか言いつつ、エンドクレジットで流された本物の録音テープにはゾクッとするものがありました。
ちょっとしたドキュメンタリーという意味でも、オカルトホラーファンにはオススメであります。