「インシディアス」(2010年)★★★★☆
「死霊館」系は新作以外全て観終わりましたので、「インシディアス」シリーズに手を出しました。
監督は「SAW」や「死霊館」でお馴染みのジェームズ・ワン。
製作は「パラノーマル・アクティビティ」のオーレン・ペリという布陣です。
これだけでも期待してしまいますが、案の定、1作目から面白い。
「死霊館」がどちらかというと恐怖レベルを下げて万人受けを狙った作風とすると、こちらはオーセンティックなハウスホラーという感じ。
そこに謎解き要素をちりばめてスリラー&ミステリー路線に重心を置いた設計。
M・ナイト・シャマラン作品とはまた違ったホラージャンルを切り開いたとも言えます。
僕は昔からB級ホラーが好きだったので、チープなテイストに体が毒されていたっていうのもありますが、本作に限っては変な安っぽさもなく、その恐怖演出も凝ったシーンが多かったように思います。
このあたりは製作陣がしっかりとホラー映画そのものを研究している印象を受けました。
特に観客にあえて気付かせるような霊現象の描写はナイスでしたね。
例えばこのシーン。
このとき、手前の女性(母親役)は左隅に立つ子供の霊を認識していません。
気付くことなく、素通りしてしまうんですね。
観客としては「今の何?」っていう感情が芽生えるのですが、直後にこの子供の霊が暴れだして女性も気付くことになるので「あぁ、やっぱり見間違いじゃなかったんだ」となります。
こういうギミック、僕は嫌いじゃないです。
むしろ「画面を注視しなきゃ」という緊張感も生まれるので、ホラー映画にしてみれば良い戦法だと思います。
(たまに演出以外の、想定外のモノが映るっていうのはよく聞く話ですけど)
それから、霊媒師たちの存在感も作品の面白さを引き上げています。
見た目、完全に近所の世話好きおばさんという出で立ちなのですが、その淀みない口調には不思議な説得力があり、子供の頃にTVで観た冝保愛子さん的な親しみやすさがありました。
ラストではその命も絶たれてしまうのですが、人気キャラになる可能性は残されたと思います。
調べてみたら、日本では劇場未公開の最新作「インシディアス 最後の鍵」で主役を務めているんですね。
来月にはBD/DVDが発売されるそうなので、冝保愛子ファンとしても、当然これは観なきゃダメでしょう。
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さて、時系列的には本作の後に「インシディアス 第2章」がありまして、その後に作られた「インシディアス 序章」と「インシディアス 最後の鍵」はエピソード0的なスピンオフ系作品だろうと思います。
(案の定、ジェームズ・ワンは製作に退き、監督は別の人が担当している模様)
「死霊館」もそうなんですが、エンタメ業界は興行収入次第で続編の製作が決まる、厳しいビジネスの世界とも言えますので、最初からエピソード0が登場するケースってよく考えるとほとんどないですよね。
ただ、製作側としては、恐らくそこまで考えて最初から取り組んでいる。
本作はそういったシナリオの奥行きを感じさせるような結末でした。
従って、早めに「インシディアス 第2章」を鑑賞したいと思います。