「インシディアス 第2章」(2013年)★★★★★
はい、最高でした。
映画としての面白さは、満点に近いです。
前作からの伏線回収がお見事ですし、これはもうホラー映画という皮を被ったミステリー小説、いや推理小説の類いではないかと。
僕的にはこれ、ジェームズ・ワンの傑作の1つだと思いますが、いかがでしょうか。
特に、知恵の輪が少しずつ外されていくようなストーリー展開に、少し野暮ったいホラー演出が組み合わさって、決してそれらはコミカルではないのですが、ややアメリカンドラマ的な箱庭風の世界観がとても魅力的でした。
加えてホラーやサスペンスに必須要素でもある「緊張と緩和」の線引きが上手く、終盤まで飽きることもなく、画面に引き込まれてしまいました。
各キャラクターの個性も光りまくり。
みんな演技上手いなあと思いながら観てました。
この俳優陣をまとめた監督の統率力も評価されて然るべきだと思います。
そもそも前作は2010年の公開で、本作がその3年後に公開されたわけですが、その間にジェームズ・ワン監督は「死霊館」を撮っているんですよね。
よくぞまあ、ここまで似たようなジャンル(ハウスホラー)を同時期に製作していたものだと感心してしまいます。
弊害というわけではないでしょうけど、主役のパトリック・ウィルソンは両方に出演していますので、観客としてはスイッチの切り替えが難しかったはず。
(役柄というか人物像も似てましたからね)
それはまあ、さておき、ここまで設定を練り込んだ作品というのはなかなか珍しいのではないでしょうか。
加えて、心霊には物理攻撃が有効、という解釈を改めて提示したことは快挙です。
クライマックスでの霊媒師による反則的な椅子攻撃には大変驚かされました。
あのシーンだけでも、この映画を観る価値があるのではないでしょうか?
人間、たとえ老いても鍛え続けねばならない理由が、果たしてそこにありました。
さて、タイトルにもなっている「Insidious」という言葉には「狡猾な、陰険な、油断のならない、知らぬ間に進行する、潜行性の」という意味があります。
悪霊の視点から見ればまさにそのまんまの意味ですが、僕からしてみたら脚本が狡猾だったなと思うわけです。
終始、油断出来ないシークエンスの連続に、かつての「SAW 1」を思い出したぐらいですから。
シナリオ的にも、エンディングにおいて一応の決着となりますが、このシリーズ、まだまだ続ける余地はありそうな雰囲気です。
僕としては継続して欲しい気分ですが、「SAW」シリーズみたいな拷問ポルノというか殺人ショー的な演出がメインとなってしまうことだけは避けてもらいたいです。
本作が好きな人は、そのサスペンス的な脚本に魅了されているわけですから。