ZIMAの宣材に使えそうな写真が撮れた。
せっかくなので、今夜はお酒の話をしよう。
九州生まれなので、よく勘違いされるけど、お酒はそんなに強くない。
自分の限界値としては、大体テキーラのショットで10杯いけるかどうか。
今はそれなりに年老いてしまったので、その半分くらいがMAXかもしれない。
加えて、筋肉にアルコール成分は大変良くないので、ここ数年は控えめにしている。
クラブなどの盛り場でも、泥酔しない程度に自重しているのが現状だ。
むしろ、飲むよりもお酒を提供する側の方が性に合っている。
大学生だった頃も、最初に選んだアルバイトはバーテンダーだった。
結局、大学を卒業するまでに渋谷で2店舗、横浜で1店舗、計4年間働いた。
最初のお店は、店長が同じ九州出身ということで、とても可愛がられた。
ミスをするとバーカンの中で思いっきり蹴り上げられたし、とあるケンカで試合後のボクサーみたいな顔で出勤したら、思いっきり腹をグーパンされたり、それはそれはもう、相撲部屋のように可愛がられた。
2店舗目は、同じ渋谷にあるお店だったけど、こちらは食事メインのレストランバーで、入店当初はドリンクメニューがとても貧弱だった。
その後、メニューやレシピの見直しから始めて、季節ごとにオリジナルカクテルを出すようなアイデアを提案したり、バーテン目線でお店の運営に絡ませてもらった。
そして、3店舗目は横浜。
こちらは渋谷と違って、路地裏に佇む小さなショットバー。
会員制?っていうぐらいに、常連さんばかりのお店だった。
年齢層も高くて、提供するお酒もキープボトルのロックか水割り。
カクテルの注文自体が少ないし、シェーカーを全く振らない日もあったぐらいだ。
これまで働いてきたお店とは明らかに趣きが違ってて、最初の1~2ヵ月間は相当悩んだことを憶えている。
常連客ばかりということもあって、マスターはお客さんの前でも関係なく僕を叱った。
ここに来るまで3年もバーテンをやっていたから、僕も自信過剰になっていたとは思う。
だけど、人前で怒られるのは、悔しくて悔しくて仕方がなかった。
「お前は全然分かってねぇンだよ!」
ため息交じりに、吐き捨てるようなマスターの言葉は、僕の高くなった鼻をいとも簡単にへし折っていく。
この時の苦い経験は、今でもすぐに思い出せる。
でも、次第に横浜の水が合うというか、雰囲気が肌で分かってくる感じもあって、最終的にはマスターの片腕、、、いや小指1本ぐらいの力にはなれたのかなと思う。
要は技術的な事に対する叱責ではなく、お客さんとの距離感が問題だった。
僕の丁寧過ぎる接客というのが、逆によそよそしい結果を招いてしまっていたのだ。
皮肉ではなく、それを言葉で教えてくれなかったマスターも流石である。
何でもそうだけど、自分で答えを見出さないと意味がない。
言葉で教わっても、恐らく身体が覚えていかないというか、そんな感じ。
このたった4年間のバーテン経験は、その後のイベントプロデュース業においても、大きなアドバンテージになった気がする。
なぜなら、イベントもバーテンも、お客さんに心地良く過ごしてもらうという点では同じだから。
従って、実際のクラブの現場でも、笑顔で楽しく接客しているバーテンを見ると、この店は安泰だなと思ってしまう。
逆に、カッコつけているのか、気取って横柄なバーテンやスタッフがいるお店は、決して長続きはしない。
例えば、実際にあの店やこの店もそうだったでしょう?(自主規制)
そうそう、僕が渋谷のFuraというお店でクラブイベントをプロデュースしていた頃、スタッフミーティングで何度も話していたことがある。
「ディズニーランドが楽しいのはなぜか?そして、リピーターが多いのはなぜか?」
答えは簡単である。
魅力的なキャラクターや面白いアトラクションはもちろんのこと、いつも笑顔のキャストが出迎えてくれるからだ。
規模は小さいながらも、クラブ業界にいる人間は、同じエンタメの仕事をしているわけで、常にお客さんの視点に立つことは当然だろうと思う。
ここを勘違いしたり、時代を見誤ると、常連客は次第に離れていく。
今も昔も、常に集客のあるクラブやイベントというのはそれなりに理由がある。
結局のところ、自分がされて嬉しいことを、相手にもすればいいっていう単純な話なんだけど、これがなかなか難しいことだったりもする。
長年、仕掛ける側に立っていると、ついついお客さんの視点を忘れてしまうこともある。
誰しも人間だから、それは仕方のないことなんだけど。
だからこそ、本稿で僕が伝えたいのは「自分で答えを見出すことの大切さ」だ。
例えばDJでも、他のイベントにお金を払って客として遊んでみることに、僕は大きな意味があると思っている。
そこで対価に見合う価値があるかどうかは、ネットの情報や口コミではなく、自分の目と耳で確かめるべきだ。
もちろんこれは、今の僕自身にも言えることなので、自戒も込めて、今後も引き続き自分で答えを見出していきたいと思う。
最後に、セブンイレブンの社長は毎日、昼食は自社のコンビニ弁当を食べているそうだ。
そこで美味しくなければすぐに販売を中止させたりするようなことを、40年も続けているらしい。
僕はそういうところに、プロデュースの本質があるような気がしている。