Saor「Forgotten Paths」★★★★★
ブラックメタルやメロディックなデスメタルの音楽性に、スコットランド特有のケルト音楽を加味し、唯一無二のフォークメタルな世界観を体現するSaor。
その実体はAndy Marshallのソロプロジェクト的なバンドでありますが、今回の新作はヘヴィメタルファン以外にも、思わず勧めたくなる”大傑作”に仕上がっていました。
何よりもサウンドプロダクションの向上により、バンド全体の品質がしっかりと底上げされており、本来の楽曲の良さにきちんとピントが合っているんですよね。
これはもう、上半期No.1のクオリティと呼んでもいいのではないでしょうか。
特徴として、まずは1曲1曲の尺が長いです。
それもそのはず、メタルやフォークなど、様々な要素を導入していますから、必然的にアレンジもプログレッシブ寄りな質感となっています。
また、シューゲイザー的な、ある意味で耽美的な世界観が素晴らしく、僕自身、この音楽性は昔から大好物ですし、ジャンル的な話をすると「ブラックゲイズ」にも近く、広義としては「ポストメタル」としか形容出来ません。
(本人はブラックメタルと呼ばれることを嫌っている模様。でもバンドロゴのデザインが完全にブラックメタルっぽいけど!?)
これまで、当ブログでは、モンゴリアン・フォークメタルのTengger Cavalryや、シューゲイザー・スラッシュメタルのAstronoid、インダストリアル・ゴシックメタルのRave the Reqviemなど、変わり種のメタルサウンドを数々紹介してきましたが、このSaorについても、ぜひHR/HM好きの皆さんにはチェックして頂きたいと思っています。
そのほか、WidekやSithu AyeなどのDjent好きにも、そしてSigur RósやHammockなどのポストロック好きにもチェックしてもらいたいですね。
例えば1番近いところで、僕はAtomaを思い出しました。
もし、このSaorを気に入った方はAtomaも聴いてみてください。
もしかしたら、Saorよりもシネマティックでアトモスフィリックな世界観に、思わず悶絶してしまうかもしれませんよ。
さて、話戻ってSaorですが、本作「Forgotten Paths」でサウンドプロダクションが向上したとはいえ、もちろんパーフェクトではありません。
この辺はまだまだ伸びしろを感じさせるところではありますので、今後の活動に期待したいと思います。
(余談ですが、4曲入りでもアルバム扱いなんですね。最初、EPかと思いました。)