Howard Jones「Transform」★★★★★
Howard Jonesと言えば、あの曲やこの曲、といった具合に数々の名曲を世に輩出してきた偉人的存在です。
そんな彼が、満を持して新譜を発表。
しかも、BTとのコラボレーションを実現!
控えめに申し上げても、音楽ファンにとっては大ニュースです。
そもそも、Howard JonesはBTが最も影響を受けたアーティストの1人です。
対して、そのHoward Jones本人も、BTがデビューした頃から気になっていたということをインタビューでも認めています。
まさに世代を超えたというか、直接的な師弟関係にあるわけではないんですけど、同じベクトルを向いて音楽を作っていた2人が、ここにきて融合(コラボ)するなどと、一体誰が想像出来たでしょうか?
特に、Howard Jonesは滅多にコラボをしないことでも有名らしく、これを”事件”と表現しないでどうするの?的なレベルの話です。
とにかく、本作のオープニングを飾る「The One To Love You」から、その熱量をまずはご確認ください。
いやはや、素晴らしすぎる!!
クリアでプリミティブなシンセサウンドにHoward JonesのVocalが映えまくってますね。
シンセポップというジャンルは、その名の通り、シンセサイザーを主軸にしたエレクトロニックなポップソングを総称しますが、Vocalの邪魔にならないことが大前提です。
逆に、空気のような存在になっても意味がないので、シンセサイザーの音色及び音階の運び方というスキルがとても大事な要素となります。
BTはすでに魔術師の異名を持つほどのシンセ使いですから、彼にとってみれば朝飯前の仕事だったかもしれませんが、これほどシンプルで尚且つ奥行きのあるシンセポップはなかなかお目にかかれません。
小学生の頃、PSBでシンセポップに目覚めた僕が言うので間違いないです。
実は、本作でBTとコラボしたのは3曲だけなのですが、Howard Jones単体の楽曲も全て高品質なポップソングに仕上がっています。
楽曲の傾向については、徹頭徹尾ポップです。
さらに、Howard Jones自身が音楽機材のテクノロジーをしっかりと理解、そしてお勉強されている方なので、リスナーとしても安心感&安定感が作品全体に漲っているのをひしひしと感じることが出来ます。
これがベテランの成せる技か、、、と僕も強く感心した次第であります。
音楽的には、ここ数年にアメリカで大流行したEDM系のサウンドや現在流行りのチルポップなサウンドとは確実に一線を画しますけど、元を辿ればHoward Jonesがやっていたことがエレクトロニック・ミュージックの原点でもあります。
ぜひ、若い方も気軽に聴いてみて欲しいですね。
少しだけ欲を言えば、全曲BTとのコラボでも良かったので、ぜひ次回はコラボではなく、新しくユニットを組んでアルバムを出して欲しいと思っちゃいました。
だってこれ、2019年上半期を代表する傑作アルバムですよね?
ノスタルジックとモダンがここまでバランス良く同居するなんて、神業です。。。