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【HR/HM】カナディアン・ヘヴィメタル、Strikerの「Play To Win」はNWOTHMの名作!

Play to Win

Striker「Play To Win」★★★★★

近年、メタル界隈でよく目にするのがNWOTHMという言葉。

40代以上の方にとっては、NWOBHMと何が違うの?っていう単純な疑問があると思います。

両者の正式な表記は以下の通り。

  • New Wave Of Traditional Heavy Metal (NWOTHM)
  • New Wave Of British Heavy Metal (NWOBHM)

Traditional、、、要するに正統派とか、古き良きメタルサウンドを指しています。

古き良きと言えば、、、間違いなく大英帝国のメタルサウンドであることは明白ですが、そもそもNWOBHMっていう言葉は当時のムーブメントを総称して使われておりまして、正確に言えばジャンル名ではありません。(1970年代後半にイギリスで勃発。)

皆さんもご存知、Iron MaidenやDef Lepard、僕が好きなところでTygers of Pan Tang、White Spiritなどのバンドを指しています。

さて、そうなるとNWOTHMも音楽ムーブメントの1つということになります。

ザックリ言えば、2000年以降に正統派メタルサウンドを標榜して現れたバンド群を総称しています。

ではなぜ、2000年以降にかつてのNWOBHMと同じようなムーブメントが起こったかというと、これにはまず、1990年代のヘヴィメタル暗黒の時代を語らねばなりません。

当時のHR/HMシーンに何が起こっていたか。

それはグランジの台頭から始まりました。

皆さんもご存知、Nirvanaが1991年に発表した「Nevermind」の爆発的なセールスによって、音楽シーンの流れが一気に変わりました。

時を同じくして、HR/HM界隈においても、これまた皆さんご存知のPanteraが「Vulgar Display of Power(俗悪)」を1992年に発表。

かつてのNWOBHMとはまた違った意味で、ヘヴィネスという定義の再構築(モダン・ヘヴィネス)がここから始まることになるわけです。

Nevermind (Remastered)

Nevermind (Remastered)

 
Vulgar Display of Power

Vulgar Display of Power

 

要するに、Nirvanaが提示したオルタナティブ・ロックと、Panteraによるモダン・ヘヴィネスという2つの音楽性が、突如としてHR/HMシーンに襲い掛かってきたのです。

もちろん、予兆はありました。

1980年代まで時代を謳歌したNWOBHMや、Guns N' Rosesを起点としたバッドボーイズ系ハードロック、及びJourneyなどのAOR系の勢いが目に見えて失速。

僕が好きだったスラッシュメタルにおいても、名のあるバンドしかチャートアクションを起こせなくなっていました。

この辺はまさに時代が変革を求めた、といったところでしょうか。

METALLICA

METALLICA

 

さて、当時のHR/HMシーンがどれだけ混沌としていたか、これはリアルタイムで過ごした方にしか分からないと思いますが、象徴的なトピックとして、Judas PriestのVocal、Rob Halfordの脱退があります。(現在は復帰してます。)

しかも、脱退したRobは、Panteraのようなモダン・ヘヴィネスを旗頭とした新バンド、Fightを結成します。

これがですね、本当に衝撃的でした。

あのRobが、半パンを履いている!?

伝統ある正統派HR/HMバンドを長年に渡って率いてきた人物ですから、その影響は計り知れないものがありました。

War of Words

War of Words

 

その他、Metallicaのブラックアルバム(1991年発表)など、シーンの混沌を裏付けるトピックには枚挙に暇がないので割愛します。

とにかく、1990年代は正統派のHR/HMバンドにとっては暗黒の時代であり、たとえ良作であったとしても、真っ当に評価されない悲運な時代であったことは、改めてお伝えしておきたいところでございます。

ここでようやく、NWOTHMの話に移りましょう。

冒頭でも説明申し上げたように、このムーブメントは2000年に入ってからの話です。

つまり、混沌とした1990年代に対するカウンターカルチャーとして勃発しています。

どのジャンルでもそうですが、例えばファッションにしても1980年代が急に見直されたり、はたまた言葉の意味が改めて再定義されるような現象は決して少なくありません。

NWOTHMに属するバンドについても、過去の正統派HR/HMサウンドを教科書としていたことは、一目瞭然でした。

今回、紹介するカナダ産のバンド、Strikerも同じです。

現時点で最も新しい作品となる、昨年発表された6thアルバム「Play To Win」から音源をチェックしてみましょう。

当ブログでの紹介が遅れてしまって大変恐縮ですが、Strikerにとっても、NWOTHMという枠の中においても、非常に高品質なアルバムとなっています。

加えて、過去作よりもサウンドプロダクションが良好ですから、その印象も随分と良くなりました。

いや、NWOTHMに関しては、どうしても過去の音楽の焼き直しであるとか、その没個性が批判の的になってしまうことは少なからずありました。

けれども、Strikerに関しては様々な正統派HR/HMの要素を上手く抽出して、良い部分だけを濾過することに成功しているんですよね。

これにはNWOBHMや1990年代をリアルタイムで通過してきた方にも、自信を持ってお勧め出来るのではないかと思います。

そしてまた、カナダと言えば、Nickelbackですよね。

(NickelbackもDef Lepard的なアプローチを得意としている正統派HRです。)

Nickelbackの人気に火が点いたのは2001年ぐらいからなので、2007年結成のStrikerも彼らの音楽性から大きな影響を受けているのではないかと推測します。

Dark Horse

Dark Horse

 

いずれにしても、Strikerは現在進行形でグイグイ上昇&成長しているバンドです。

特に本作「Play To Win」はメロディアスな楽曲が多く、一般的なリスナーにも気に入ってもらえる可能性が高いと感じています。

従いまして、リリースからすでに1年近く経過しておりますが、改めてこちらで紹介した次第です。

僕のお勧めは上でも動画を貼り付けた「The Front」という曲。

ぜひチェックしてみてください。

Play to Win

Play to Win