Work Of Art「Exhibits」★★★★☆
スウェーデン出身のWork Of Artが5年ぶりに新作を発表しました。
2008年のデビュー以来、北欧らしいメロディアスハードな成分と、アメリカはToto直系のAOR成分を上手くブレンドした、極めてレトロモダンなHard Rockを体現していた彼ら。
特にソングライティングを手掛けるRobert Sall(Guitar)の存在感は、作品のリリースを重ねるたびに大きくなっていきました。
名ボーカリスト、Jeff Scott Sotoが参加するW.E.T.にも楽曲提供するなど、恐らくこの界隈で彼の名前を知らない人はいないのではないでしょうか。
要は、Work Of Artの新作に関しては、それだけ期待値が高かったこと。
本記事を読まれる方には、この点を最初にお伝えしておくべきかなと思いますね。
それでは早速、MVにて新曲をチェックしていきましょう。
さて、まずはアルバム冒頭の3曲を貼り付けてみました。
いかがでしょうか。
本作「Exhibits」は彼らにとって4thアルバムとなりますが、方向性はデビュー以来、全く変わっていませんね。
ファンとしては、まずはそこに安心感を覚えるところです。
また、アルバム全体を流れる世界観は、この3曲で全て説明可能であります。
AORとHard Rockのハイブリッド的な楽曲が多いのは純然たる事実ですから。
(むしろそれがWork Of ArtをWork Of Artたらしめているということです。)
従いまして、全11曲という収録内容も、リスナーを飽きさせない配慮を感じた次第。
個人的には、2ndアルバム「In Progress」のインパクトが強すぎて、そこから考えますと、新しい発見とか新鮮味といった印象は薄いと言わざるを得ません。
かといって、本作が予定調和の凡作かと言われると、それは全力で否定します。
サウンドプロダクションも含めて、これだけ高品質なAORを奏でるバンドは、世界的に見ても指折りだからです。
特にVocalの卓越した歌唱力については、このバンドへの敷居を下げ、尚且つ間口を広げる効果があると思います。
(VaporwaveやSynthwaveを好んで聴いている若い世代にも、ぜひお勧めしたいですね。)
もちろん、旧来のファンからすると、ややマンネリ感やデジャヴ感は相応にありますが、僕なんかはですね、終曲「Let Me Dream」の出来の良さに感動してしまいまして、この1曲だけでも購入の価値があると思いました。
この曲、80年代に精通している人にはすぐにお分かりかと思いますが、もはや完全にForeignerなんですよ。
かの名曲「Waiting for a Girl like You」へのオマージュではないでしょうか?
Foreignerを知っている人も、そうでない人も、ぜひこの名曲を聴いたあとに当該Work Of Artの11曲目「Let Me Dream」を聴いてみてください。
間違いなく、Work Of Artのルーツに迫ることが出来ると思います。
僕としては、今年のフェイバリットな1曲に選びたいぐらい、大変気に入りました。
アルバムの最後にこんな名曲を配置するなんて、本当にズルいですよ。。。
以前から言い続けていることですが、音楽を聴くという行為は、歴史的な参照を見つける楽しさがあります。
対して、音楽を生み出す行為には、過去のアーティストへのリスペクトがあると思います。
この両者が相対的な反応を起こした時、音楽の意義というものが次第に露わになって、結果的には幸福がもたらされるわけです。
こうした僕の音楽観については、別の機会にでも詳しくまとめてみたいと思っています。
それでは、また。