Dizzy Mizz Lizzy「Alter Echo」★★★★★
2016年に再始動したデンマークの超絶トリオバンド、Dizzy Mizz Lizzy。
復活後としては2作目となる「Alter Echo」がリリースされました。
Dizzy Mizz Lizzyは僕のライブラリーの中でも最上位に位置するお気に入りバンドです。
彼らのおかげでハードロックやオルタナティブロックの価値が棄損せずに済んでいる、というのは果たして言い過ぎではないと思います。
過去記事でも、最新のDizzy Mizz Lizzyが最高のDizzy Mizz Lizzyと断言しておりますが、本作を聴く限り、この意見を修正する必要はなさそうです。
端的に、素晴らしいアルバムです。
まずはMVからチェックしていきましょう。
昨年、先行してリリースされたこの「California Rain」に関しては、前作の延長線上にあるのが一目瞭然です。
バンドとして、まずはファンに安心感をもたらすプロモーションかと思います。
ところが、アルバムの雰囲気はオープニングからして前作とは異なります。
1曲目の「The Ricochet」を経て「In The Blood」へと繋がっていく中で、Vocalが登場するまで3分以上待つことになります。
まるでプログレッシブロックみたいなノリですね。
これは復活作となった前作「Forward In Reverse」と同じ展開ではあるのですが、本作のオープニングは対称的とも言えるほど静かでアトモスフィリックな世界観となっています。
また、昔のLPのように、本作はA面B面の2部構成になっています。
上記の曲目にあるように、6曲目から終曲までは「Amelia」という組曲です。
具体的には「California Rain」を境界線として、前後に2つの物語を配置しています。
これほどのシステマチックな構成はDizzy Mizz Lizzyの歴史の中でも初の試みかと思います。
(以下、HMVの記事から引用します。)
・“「Amelia」は自然とこういう長い1つの楽曲になっていったんだ。ただそれが理にかなっていると思ったし、それ以外にはなり得なかったんだ。アルバムはこうあるべき、といったルールがなく、楽曲そのものが発展したいままにしておいて良い状況なら、1つの曲が23分で終わるのもいい“
・「Alter Echo」はアナログ・レコードを前提に制作され、全10曲で46分、A面/B面の両サイド共に約23分という構成になっている。
これについては、予兆がありました。
前作の曲順が、まるでDJ MIXのように美しい流れだったのです。
それが巷での高い評価に繋がったと思いますし、メンバーもそうしたアルバム制作に手応えを感じたのではないかと思います。
要するに、前作と本作は陸続きにあることが明快に示されていますね。
音楽の歴史は引用とアレンジの繰り返し。
これは事あるごとに僕が使っている表現ですけれども、Dizzy Mizz Lizzyの源泉はThe Beatlesをおいて他にありません。
そこにオルタナティブというカウンタカルチャーの「アレンジ」が加わり、北欧由来の土着的なメロディセンスとともに、唯一無二の世界観を築き上げたのが彼らの功績です。

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- アーティスト:ザ・ビートルズ
- 発売日: 2019/09/27
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その革新性は留まるところを知らず、最新作でも先の読めない展開には脱帽です。
ロックの普遍性とプログレッシブな実験的精神が見事に融和した作品と言えます。
それはまるで、オルタナティブの地平線を再定義してしまうほどの完成度。
紛れもなく、2020年を代表する傑作の登場であります。
ちなみに、4/23に来日公演することがアナウンスされました。
これ、、、時期的に大丈夫なのでしょうか?
メンバーが無事に出入国出来るのかどうかも含めて、しばらく様子を見たいと思います。